ネギまとFateのクロスオーバー小説を書いていこうと思ってます。
カレンダー
最新記事
(11/21)
(11/20)
(11/06)
(10/21)
(10/18)
カウンター
プロフィール
HN:
蒼海
性別:
非公開
自己紹介:
細々と生きてます。
メール:
endlesswind@hotmail.co.jp
@を半角にして送ってください。
メール:
endlesswind@hotmail.co.jp
@を半角にして送ってください。
最新コメント
最新トラックバック
ブログ内検索
アクセス解析
「おや、戻っておったのか」
成績発表のすぐ後。
自室のドアを開けた学園長の目に、士郎の姿が飛び込んできた。
「ええ、学園長にお願いしたいことがありまして」
「ほう、お願いしたいこととな? 何かの?」
「単刀直入に言います。給料のアップをお願いします」
「ふむ、現状じゃ不満かの?」
よっこらせ、と椅子に背を預けた学園長は鷹揚に訊ねる。
「不満という訳じゃないんです。ただ、色々と出費が嵩んでしまいまして」
「なるほどの。言い分はわかった。じゃが、残念ながらその願いは叶えられんのう」
自嘲気味な口調の士郎に、しかし学園長は言下に審判を下す。
「どうしてもですか?」
「どうしても、じゃ。まだこの学園に来てまもない衛宮君の給料を上げてしまうと、他の先生たちに対して示しがつかんからのう」
「そうですか……」
落胆の態を示しつつおもむろにポケットをまさぐる士郎に構わず、学園長は続ける。
「すまんのう。じゃが、給料の前貸しくらいなら───」
『ということは、最下位のクラスは解散という噂は学園長が流したんですね?』
『そういうことじゃ』
動いていた口がピタリ、と停止する。
その原因、先日の事件の真相が語られた会話は士郎から、正確にはその手に握られたボイスレコーダーから生まれていた。
『それはの、ワシがちょいと 石像を動かしたからじゃろうて』
話が一段落したところで停止ボタンが押される。
「………」
「わかりました。残念ですが、これで失礼します」
「ちょ、ちょっと待っとくれ!」
流すだけ流すと何のためらいもなく部屋を出ようとする士郎を、それまで発すべき言葉を捜していた学園長が弾かれたように立ち上がり引きとめる。
「なんでしょう?」
対して、呼び止められた士郎はごく自然に振り返る。
「そ、それは一体──」
「これですか? これは聞いてのとおり、この前の学園長との電話を録音したものです が」
「それはその通りなんじゃが……。なぜそんなものを都合よく持っておるのじゃ」
「簡単なことですよ、学園長。 ただ単にいつも持ち歩いているだけですから」
「………」
再び言葉を失う学園長を尻目に、士郎は爽やかな口調で説明してゆく。
「俺の身近に、公正証書とかを組んだりしない限り力づくで何とかしてしまうようなのがいましてね。証拠はいつでも形に残しておけるように持ち歩いてるんですよ」
「そ、そうなのか……」
「ところで学園長」
「な、なんじゃ?」
「このテープをこのかちゃんに聞かせたら、果たして何て言うでしょうね?」
生徒の前では見せない皮肉気な笑みを浮かべながら、確実かつ迅速に包囲網を狭めていく。
「もしかしたら、おじいちゃんに曾孫は抱かせない、なんて言うかもしれませんね」
「……すまんが、少しそれを貸してくれんかの?」
下心が丸見えな提案。
しかし、
「ええ、かまいませんよ」
士郎は拍子抜けするほどあっさりと唯一の 武器を手放す。
溺れる者は藁をも掴むとの諺の通り、その態度に若干の違和感を感じつつも、学園長は手元のボイスレコーダーをあれこれを弄りまわす。
そして、
「む、お、おおっ!?」
わざとらしい声とともに、手元のボイスレコーダーから煙が上がる。
「すまんのう衛宮君。どうやら壊れてしまったよう…じゃ……」
ようやくいつものふぉふぉふぉという嘲笑を作りかけた顔が、そこで凍りつく。
「大丈夫ですよ。ここに代わりがありますから」
士郎の手に握られた新たなボイスレコーダーがその視線の先にはあった。
再生ボタンが押され、さきほど流れたのと同じやりとりが部屋に響く。
「……ダビングしておいたのか」
観念した、といった風な学園長に、しかし士郎はふふふ、とにこやかに口を開く。
「やだなあ学園長。そんな訳ないじゃないですか」
その表情に、学園長は幻視する。
「最初から用心のために複数台持っていただけですよ」
赤いあくま──、ではなく。
ほがらかかつイタズラ好きな、割烹着にフードをかぶったマジカルでアンバーな魔法少女の影を──。
後日。
「衛宮殿」
「ん?」
「最近、食卓が豪華になったような気がするでござるが」
「ああ……。まあ、新たな収入を見つけたってことさ」
こんな会話があったとかなかったとか。
自室のドアを開けた学園長の目に、士郎の姿が飛び込んできた。
「ええ、学園長にお願いしたいことがありまして」
「ほう、お願いしたいこととな? 何かの?」
「単刀直入に言います。給料のアップをお願いします」
「ふむ、現状じゃ不満かの?」
よっこらせ、と椅子に背を預けた学園長は鷹揚に訊ねる。
「不満という訳じゃないんです。ただ、色々と出費が嵩んでしまいまして」
「なるほどの。言い分はわかった。じゃが、残念ながらその願いは叶えられんのう」
自嘲気味な口調の士郎に、しかし学園長は言下に審判を下す。
「どうしてもですか?」
「どうしても、じゃ。まだこの学園に来てまもない衛宮君の給料を上げてしまうと、他の先生たちに対して示しがつかんからのう」
「そうですか……」
落胆の態を示しつつおもむろにポケットをまさぐる士郎に構わず、学園長は続ける。
「すまんのう。じゃが、給料の前貸しくらいなら───」
『ということは、最下位のクラスは解散という噂は学園長が流したんですね?』
『そういうことじゃ』
動いていた口がピタリ、と停止する。
その原因、先日の事件の真相が語られた会話は士郎から、正確にはその手に握られたボイスレコーダーから生まれていた。
『それはの、ワシがちょいと
話が一段落したところで停止ボタンが押される。
「………」
「わかりました。残念ですが、これで失礼します」
「ちょ、ちょっと待っとくれ!」
流すだけ流すと何のためらいもなく部屋を出ようとする士郎を、それまで発すべき言葉を捜していた学園長が弾かれたように立ち上がり引きとめる。
「なんでしょう?」
対して、呼び止められた士郎はごく自然に振り返る。
「そ、それは一体──」
「これですか? これは聞いてのとおり、この前の学園長との電話を録音したものです が」
「それはその通りなんじゃが……。なぜそんなものを都合よく持っておるのじゃ」
「簡単なことですよ、学園長。
「………」
再び言葉を失う学園長を尻目に、士郎は爽やかな口調で説明してゆく。
「俺の身近に、公正証書とかを組んだりしない限り力づくで何とかしてしまうようなのがいましてね。証拠はいつでも形に残しておけるように持ち歩いてるんですよ」
「そ、そうなのか……」
「ところで学園長」
「な、なんじゃ?」
「このテープをこのかちゃんに聞かせたら、果たして何て言うでしょうね?」
生徒の前では見せない皮肉気な笑みを浮かべながら、確実かつ迅速に包囲網を狭めていく。
「もしかしたら、おじいちゃんに曾孫は抱かせない、なんて言うかもしれませんね」
「……すまんが、少しそれを貸してくれんかの?」
下心が丸見えな提案。
しかし、
「ええ、かまいませんよ」
士郎は拍子抜けするほどあっさりと唯一の
溺れる者は藁をも掴むとの諺の通り、その態度に若干の違和感を感じつつも、学園長は手元のボイスレコーダーをあれこれを弄りまわす。
そして、
「む、お、おおっ!?」
わざとらしい声とともに、手元のボイスレコーダーから煙が上がる。
「すまんのう衛宮君。どうやら壊れてしまったよう…じゃ……」
ようやくいつものふぉふぉふぉという嘲笑を作りかけた顔が、そこで凍りつく。
「大丈夫ですよ。ここに代わりがありますから」
士郎の手に握られた新たなボイスレコーダーがその視線の先にはあった。
再生ボタンが押され、さきほど流れたのと同じやりとりが部屋に響く。
「……ダビングしておいたのか」
観念した、といった風な学園長に、しかし士郎はふふふ、とにこやかに口を開く。
「やだなあ学園長。そんな訳ないじゃないですか」
その表情に、学園長は幻視する。
「最初から用心のために複数台持っていただけですよ」
赤いあくま──、ではなく。
ほがらかかつイタズラ好きな、割烹着にフードをかぶったマジカルでアンバーな魔法少女の影を──。
後日。
「衛宮殿」
「ん?」
「最近、食卓が豪華になったような気がするでござるが」
「ああ……。まあ、新たな収入を見つけたってことさ」
こんな会話があったとかなかったとか。
PR
Comment
感想
>解散という噂が学園長が流したんですね
「噂が学園長」では無く「噂は学園長」だと思います。
コレは赤いあくまのオリジナルよりも怖い気がします。この士郎を凛が見たらどんな反応をするのか気になってしまいました。
「噂が学園長」では無く「噂は学園長」だと思います。
コレは赤いあくまのオリジナルよりも怖い気がします。この士郎を凛が見たらどんな反応をするのか気になってしまいました。
この記事にコメントする
Trackback
この記事にトラックバックする: |