ネギまとFateのクロスオーバー小説を書いていこうと思ってます。
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走る。
「衛宮先生ーッ!」
走る走る走る。
銀髪を靡かせ、顔には恐怖と困惑を浮かべ、士郎は走る。
「衛宮先生ーッ!」
どうしてこんなことに──。
「衛宮先生ーッ!」
士郎は確かめるように、足は止めないまま背後に振り返り、
「な、なんでさあああああああ!?」
叫び、一心不乱に走る。
士郎を追いかける黒山の少女たちから逃げるために。
事の発端は昼休み。
「士郎さん」
「ん?」
教室に顔を出した士郎の元にネギがやってきたことから始まる。
「どうしたの?」
「あ、あの、これ飲んでもらえませんか?」
士郎は差し出された、澄んだ黄金色の液体で満ちたコップを受け取る。
「見た感じお茶だけど、これなに?」
「えっと……、お茶みたいなものです」
「へえ」
ネギの挙動不審な態度を訝しみつつも、士郎は特に疑うこともなくコップに口を付け、それを飲み干す。
「……何か変わった味だね」
いままでに経験したことのない味に、料理をするものとして材料に考えをめぐらせていると、ネギがジッと己を見上げているのに気付く。
「何か俺の顔についてる?」
「い、いえ!? 何もついてませんよ!?」
慌てて首を振りつつ、おかしいなー、などと呟くネギに、士郎が一抹の不安を覚えていると、
「士郎さん……」
鼻にかかったような声に振り向いた先には、やけに顔が赤い木乃香の姿。
遅まきながら、士郎の脳裏に警鐘が鳴り響く。
「士郎さんって……、なんかスゴイかっこえーなー」
「は、はあぁ!?」
素っ頓狂な声を上げ、士郎はいまにも抱きつきそうな木乃香から慌てて飛びのく。
「あん、なんで逃げるん?」
「何でって、そりゃ……」
言いかけて、士郎は絶句する。
気付けば明日菜を除いた教室内の少女たちが、等しく木乃香と同じように顔を赤くしていた。
「………」
沈黙も一瞬。
「衛宮先生ーッ!」
「な、なんでさあああああ!?」
迫り来る少女たちから逃げるべく、士郎はドアに手をかけた──。
そして現在に至る。
曲がり角を曲がったところで足に強化の魔術を叩き込み、少女たちを引き離す。
そのまま窓から身を乗り出し、校舎の屋根に飛び乗り、腰を落とす。
「はあ、はあ、はあ……」
息切れは疲労ではなく恐怖と困惑から。
あの後、廊下ですれ違う少女たちことごとくに追いかけられていた。
「ど、どうしてこんなことに……」
それは考えるまでもない。
原因はネギに渡された液体、それ以外に思い当たらない。
問題、そう問題は。
「俺、ネギ君に何かしたか……?」
どうしてネギがあんなものを渡したか、ということ。
士郎はいままでの出来事を思い出すが、思い当たる節はない。
ならば直接訊くのが一番なのだが、
「衛宮先生、どこですかー!?」
足元から響く高い声と足音に士郎は冷や汗を流す。
何らかの効果が働いているのか、それとも元々なのか、異様に身体能力の高い少女たちを撒くのは士郎をして困難なことだった。
唯一の救いは、その一団に2-Aの中の"出来る"生徒たちがいなかったことか。
士郎が己の小さな幸運に感謝し、同時に大きな不運を呪っていると、
「士郎さーん!大丈夫ですか!?」
大きな声に空を見上げると、杖に跨ったネギが降りてくる。
「まあ、なんとか」
「本当にすいません!」
空を飛ぶという魔法使いらしい魔法に感心しつつ草臥れた声で返事をする士郎に、ネギは屋根に降り立つなり、そう言って深く頭を下げる。
「……色々と聞きたいことはあるけど、まず、俺が飲んだあれはなに?」
「……ホレ薬です」
「……ホレ薬って、あの惚れ薬?」
「はい……」
俯きか細い声で肯定するネギ、士郎はこめかみに指をあてがう。
「何だってまたそんなものを……」
「僕、アスナさんに迷惑かけっぱなしで、何かアスナさんの役に立てることはないかって思ってて」
「……へぇ、明日菜、ね」
俯くネギは気付かない。
「はい。それでホレ薬を作ったんですけど、アンタの作ったものは信用ならないって言われちゃって。そしたら丁度士郎さんが教室に入ってきて」
「なるほど。それで明日菜が俺に飲ませて確かめた、って訳か」
士郎の声が僅かにだが変わったことに。
「あの、士郎さん、本当にすいませんでした!」
士郎は立ち上がると、改めて深々と頭を下げるネギの肩にぽん、と手を置く。
「いや、気にしてないよ。それより、惚れ薬で誰かの好意を得てもそれは意味ないことだ。アスナの役に立ちたいなら、もっと別のことで頑張ること」
「はい……」
「ああ、それと、」
士郎はさり気なく、明日の天気を聞くかのような調子で訊ねる。
「明日菜はどこにいるかわかる?」
「アスナさんならさっき残りの薬を持ってタカミチのところへ行きましたけ、ど……」
そこでようやくネギは気付く。
士郎が浮かべる、容易ならざる笑みに。
少年は恐る恐る口を開く。
「あ、あの、士郎さん。も、もしかして、怒ってます?」
「まさか。これくらいのことで怒るほど子供じゃないさ。でも、そうだな。自分の為した行為にはそれ相応の結果が伴う、ということはしっかり教えてあげないとな、教師として」
建前の妥当さとは裏腹にやけに迫力のある笑みを湛える士郎に、ネギの頬を冷や汗が伝う。
「それじゃ、ネギ君。俺は行くところがあるから、また後で」
そう言って士郎は屋根の上を駆けて行く。
その後ろ姿に、ネギは1つの教訓を胸に刻み込む。
曰く。
──士郎さんは怒らせないようにしよう、と。
手にさきほどの液体が入った瓶を持ち廊下を歩く明日菜は、上機嫌だった。
それも当然。
手の中にあるそれを使えば、自分が好意を向けるタカミチがこちらに振り向くのだ。
だが。
「さっきのはさすがにまずかったわね……」
士郎が追いかけられる様を思い出し、明日菜は気まずそうに頬を掻く。
どれほどの効果があるか知らなかったとはいえ、さきほどの光景を目の当たりにして はさすがに罪悪感を感じずにはいられないのだが。
「後でさりげなく謝ればいいわよね、うん」
惚れ薬の魅力には敵わず。
頷き、自分を納得させると、明日菜は自分の幸せに向かって歩き出す。
瞬間。
「────えっ?」
窓ガラスが割れる。
風が薙ぎ、瓶が割れ、惚れ薬がスカートを汚す。
「え、え、ええええぇぇ!?」
一瞬の出来事にしばし唖然としていた明日菜だったが、辺りに飛び散った液体を見て慌てふためく。
辺りを見回しても落ちているのは瓶の破片だけで、他には何一つ特異なものは見当たらない。
「ちょっと、なんでよっ!?」
混乱した頭で、明日菜は窓の外を見上げ、
「────」
今度こそ凍りつく。
視線の先、いまはもう誰もいない屋根の上。
一瞬、だが確かに。
銀髪の、どこかで見た青年が、ニヤリ、と。
皮肉に嗤った。
走る走る走る。
銀髪を靡かせ、顔には恐怖と困惑を浮かべ、士郎は走る。
「衛宮先生ーッ!」
どうしてこんなことに──。
「衛宮先生ーッ!」
士郎は確かめるように、足は止めないまま背後に振り返り、
「な、なんでさあああああああ!?」
叫び、一心不乱に走る。
士郎を追いかける黒山の少女たちから逃げるために。
事の発端は昼休み。
「士郎さん」
「ん?」
教室に顔を出した士郎の元にネギがやってきたことから始まる。
「どうしたの?」
「あ、あの、これ飲んでもらえませんか?」
士郎は差し出された、澄んだ黄金色の液体で満ちたコップを受け取る。
「見た感じお茶だけど、これなに?」
「えっと……、お茶みたいなものです」
「へえ」
ネギの挙動不審な態度を訝しみつつも、士郎は特に疑うこともなくコップに口を付け、それを飲み干す。
「……何か変わった味だね」
いままでに経験したことのない味に、料理をするものとして材料に考えをめぐらせていると、ネギがジッと己を見上げているのに気付く。
「何か俺の顔についてる?」
「い、いえ!? 何もついてませんよ!?」
慌てて首を振りつつ、おかしいなー、などと呟くネギに、士郎が一抹の不安を覚えていると、
「士郎さん……」
鼻にかかったような声に振り向いた先には、やけに顔が赤い木乃香の姿。
遅まきながら、士郎の脳裏に警鐘が鳴り響く。
「士郎さんって……、なんかスゴイかっこえーなー」
「は、はあぁ!?」
素っ頓狂な声を上げ、士郎はいまにも抱きつきそうな木乃香から慌てて飛びのく。
「あん、なんで逃げるん?」
「何でって、そりゃ……」
言いかけて、士郎は絶句する。
気付けば明日菜を除いた教室内の少女たちが、等しく木乃香と同じように顔を赤くしていた。
「………」
沈黙も一瞬。
「衛宮先生ーッ!」
「な、なんでさあああああ!?」
迫り来る少女たちから逃げるべく、士郎はドアに手をかけた──。
そして現在に至る。
曲がり角を曲がったところで足に強化の魔術を叩き込み、少女たちを引き離す。
そのまま窓から身を乗り出し、校舎の屋根に飛び乗り、腰を落とす。
「はあ、はあ、はあ……」
息切れは疲労ではなく恐怖と困惑から。
あの後、廊下ですれ違う少女たちことごとくに追いかけられていた。
「ど、どうしてこんなことに……」
それは考えるまでもない。
原因はネギに渡された液体、それ以外に思い当たらない。
問題、そう問題は。
「俺、ネギ君に何かしたか……?」
どうしてネギがあんなものを渡したか、ということ。
士郎はいままでの出来事を思い出すが、思い当たる節はない。
ならば直接訊くのが一番なのだが、
「衛宮先生、どこですかー!?」
足元から響く高い声と足音に士郎は冷や汗を流す。
何らかの効果が働いているのか、それとも元々なのか、異様に身体能力の高い少女たちを撒くのは士郎をして困難なことだった。
唯一の救いは、その一団に2-Aの中の"出来る"生徒たちがいなかったことか。
士郎が己の小さな幸運に感謝し、同時に大きな不運を呪っていると、
「士郎さーん!大丈夫ですか!?」
大きな声に空を見上げると、杖に跨ったネギが降りてくる。
「まあ、なんとか」
「本当にすいません!」
空を飛ぶという魔法使いらしい魔法に感心しつつ草臥れた声で返事をする士郎に、ネギは屋根に降り立つなり、そう言って深く頭を下げる。
「……色々と聞きたいことはあるけど、まず、俺が飲んだあれはなに?」
「……ホレ薬です」
「……ホレ薬って、あの惚れ薬?」
「はい……」
俯きか細い声で肯定するネギ、士郎はこめかみに指をあてがう。
「何だってまたそんなものを……」
「僕、アスナさんに迷惑かけっぱなしで、何かアスナさんの役に立てることはないかって思ってて」
「……へぇ、明日菜、ね」
俯くネギは気付かない。
「はい。それでホレ薬を作ったんですけど、アンタの作ったものは信用ならないって言われちゃって。そしたら丁度士郎さんが教室に入ってきて」
「なるほど。それで明日菜が俺に飲ませて確かめた、って訳か」
士郎の声が僅かにだが変わったことに。
「あの、士郎さん、本当にすいませんでした!」
士郎は立ち上がると、改めて深々と頭を下げるネギの肩にぽん、と手を置く。
「いや、気にしてないよ。それより、惚れ薬で誰かの好意を得てもそれは意味ないことだ。アスナの役に立ちたいなら、もっと別のことで頑張ること」
「はい……」
「ああ、それと、」
士郎はさり気なく、明日の天気を聞くかのような調子で訊ねる。
「明日菜はどこにいるかわかる?」
「アスナさんならさっき残りの薬を持ってタカミチのところへ行きましたけ、ど……」
そこでようやくネギは気付く。
士郎が浮かべる、容易ならざる笑みに。
少年は恐る恐る口を開く。
「あ、あの、士郎さん。も、もしかして、怒ってます?」
「まさか。これくらいのことで怒るほど子供じゃないさ。でも、そうだな。自分の為した行為にはそれ相応の結果が伴う、ということはしっかり教えてあげないとな、教師として」
建前の妥当さとは裏腹にやけに迫力のある笑みを湛える士郎に、ネギの頬を冷や汗が伝う。
「それじゃ、ネギ君。俺は行くところがあるから、また後で」
そう言って士郎は屋根の上を駆けて行く。
その後ろ姿に、ネギは1つの教訓を胸に刻み込む。
曰く。
──士郎さんは怒らせないようにしよう、と。
手にさきほどの液体が入った瓶を持ち廊下を歩く明日菜は、上機嫌だった。
それも当然。
手の中にあるそれを使えば、自分が好意を向けるタカミチがこちらに振り向くのだ。
だが。
「さっきのはさすがにまずかったわね……」
士郎が追いかけられる様を思い出し、明日菜は気まずそうに頬を掻く。
どれほどの効果があるか知らなかったとはいえ、さきほどの光景を目の当たりにして はさすがに罪悪感を感じずにはいられないのだが。
「後でさりげなく謝ればいいわよね、うん」
惚れ薬の魅力には敵わず。
頷き、自分を納得させると、明日菜は自分の幸せに向かって歩き出す。
瞬間。
「────えっ?」
窓ガラスが割れる。
風が薙ぎ、瓶が割れ、惚れ薬がスカートを汚す。
「え、え、ええええぇぇ!?」
一瞬の出来事にしばし唖然としていた明日菜だったが、辺りに飛び散った液体を見て慌てふためく。
辺りを見回しても落ちているのは瓶の破片だけで、他には何一つ特異なものは見当たらない。
「ちょっと、なんでよっ!?」
混乱した頭で、明日菜は窓の外を見上げ、
「────」
今度こそ凍りつく。
視線の先、いまはもう誰もいない屋根の上。
一瞬、だが確かに。
銀髪の、どこかで見た青年が、ニヤリ、と。
皮肉に嗤った。
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Comment
無題
まずは更新お疲れ様です。
タイトル見た瞬間、他の人同様にはまさかあの人が・・・と思いました。
まぁ明日菜に対してのお仕置きはもう少し厳しくてもとは思いましたね。トラウマみたいなのが残ってもおもしろかった気が。
それでは次回の更新も待ってます。
タイトル見た瞬間、他の人同様にはまさかあの人が・・・と思いました。
まぁ明日菜に対してのお仕置きはもう少し厳しくてもとは思いましたね。トラウマみたいなのが残ってもおもしろかった気が。
それでは次回の更新も待ってます。
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